概要
左官ブラシは、仕上げ精度や作業効率を大きく左右する重要な道具のひとつです。
形状・サイズ・毛丈の違いによって使用感は大きく変わり、用途に適した選定が仕上がり品質を安定させます。
本ページでは、左官ブラシの形状・寸法・設計上の考え方について整理しています。
サイズ規格(丁数)について
左官ブラシのサイズ表記には、昔からの職人用語である 「丁(ちょう)」 という単位が使われます。
これは植毛されている板(台木)の寸法を基準とした規格で、作業面積や用途に応じて選ばれます。
現在もこの「丁」表記は現場で広く使われており、サイズ選定の基準になっています。
1丁を基準とした寸法体系
基準となるサイズは 1丁 = 180 × 60mm です。
ここから用途に応じて幅を細くしたり、長さを伸ばしたりしたサイズが展開されます。

参考:上画像は1丁柄付きブラシです、180x60mm 水色矢印が180mm 桜色矢印が60mm
左官ブラシ丁数サイズ一覧表
| 丁数 | サイズ(mm) | 特徴・用途傾向 |
|---|---|---|
| 1/6丁 | 90 × 20 | ごく細部・狭小部向け |
| 1/4丁 | 90 × 30 | 細部作業・入隅まわり |
| 1/2丁 | 180 × 30 | 標準長さの細幅タイプ |
| 1丁(基準) | 180 × 60 | 最も標準的なサイズ |
| 2丁 | 350 × 60 | やや長めの効率重視サイズ(※イレギュラー寸法) |
| 3丁 | 540 × 60 | 広い面の水引きに適する |
| 4丁 | 720 × 60 | 大面積施工向け |
| 5丁 | 900 × 60 | 長尺仕上げ・効率重視の現場向け |
※寸法は植毛部の目安サイズです
※1/6及び1/4丁のことをチリバケと通称で呼ぶことがあります。
丁数と作業性の関係
丁数が大きくなるほど一度に施工できる面積は広がり、作業効率は向上します。
一方で、サイズが大きいほど手元のコントロールは難しくなり、細部には不向きになります。
逆に、1/2丁以下の小サイズは取り回しに優れ、入隅・端部・部分補修など精度が求められる場面に適しています。
つまり「丁数」は作業スピードを優先するか、精度を優先するかを選ぶためのひとつの指標とも言えます。
形状の種類
左官ブラシには作業内容に応じたさまざまな形状があります。
平型(ストレート型)
もっとも一般的な形状で、広い面の水引きや均し作業に適しています。
接地面が安定し、均一な仕上げを行いやすいのが特長です。
先細型
先端に向かって幅が狭くなる形状。
入隅・細部・狭い箇所の施工に適しており、細かなコントロールが求められる作業に使用されます。
小判型・丸型
曲面や模様付けなど、直線的でない動きに対応するための形状です。
仕上げ表現を重視する現場で使用されることがあります。
舟形・剣先型
舟のような形をしている左官ブラシのことを言う。舟形や剣先に似ていることから剣先型と言われることもある。
サイズ感の考え方
左官ブラシ選定で最も相談が多いのが「サイズ」です。
サイズは作業スピードと仕上げ精度のバランスを左右します。
ブラシ幅
ブラシの横幅は施工面積に直結します。
- 幅が広い
広範囲を一度に施工でき、作業効率が高い
反面、細かな調整はやや難しくなります - 幅が狭い
細部作業や部分補修に適する
面積の広い施工には時間がかかります
毛丈(毛の長さ)
毛の長さはタッチの柔らかさと含み水量に影響します。
- 毛丈が長い
当たりが柔らかく、水含みが良い
繊細な仕上げや水引きに適しています - 毛丈が短い
コシが強く、コントロールしやすい
押さえ気味の作業や均しに向いています
厚みとコシ
見落とされがちですが、ブラシの「厚み(毛量)」も重要な要素です。
- 毛量が多い → 水持ちが良く、柔らかい当たりになる
- 毛量が少ない → 反応がダイレクトでシャープな操作が可能
作業者の手の力や仕上げの好みによって最適なバランスは異なります。
用途とサイズの関係
施工内容により、選ばれるサイズはある程度傾向があります。
| 用途 | 推奨サイズ傾向 |
|---|---|
| 広い面の水引き | 幅広・毛丈やや長め |
| 仕上げ均し | 中幅・コシのある毛丈 |
| 入隅・細部 | 幅狭・操作性重視 |
| 模様付け | 形状重視・用途専用サイズ |
あくまで目安であり、最終的には作業者の感覚と現場条件によって選定されます。
通称・現場での呼び名について
左官ブラシの世界では、規格サイズとは別に職人の間で使われる通称 が存在します。
その代表的な例が 「チリバケ」 です。
チリバケとは
一般に、
1/6丁および1/4丁サイズの柄付き左官ブラシ を
現場では「チリバケ」と呼ぶことがあります。
これらは
- 入隅
- サッシまわり
- 細かな端部
- 施工中に出るチリや余分な材料の掃き取り
など、細部処理や清掃的な動きに使われることが多いため、「チリ(塵)」を扱う刷毛 → チリバケという呼び名が定着したと考えられます。
正式名称との違い
「チリバケ」はあくまで現場での通称であり、製品カタログ上では
- 1/6丁 柄付きブラシ
- 1/4丁 柄付きブラシ
といったサイズ表記で分類されます。
しかし実際の施工現場では「チリバケ取って」という言い方のほうが通じやすい場面も多く、サイズ規格と通称の両方を理解しておくことが実用上重要です。
まとめ
左官ブラシは「消耗品」ではなく、仕上がりを左右する施工道具です。
形状・サイズ・毛丈の違いを理解することで、作業効率と品質は大きく向上します。
製品ごとの詳細な仕様については、各商品ページをご確認ください。